薬王堂気まぐれ通信使№722   2014-11-1
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

前回の薬王堂気まぐれ通信使でアベマキの樹皮をビールの王冠に使っていた事に触れましたね。
大丸峯山に自生する古いアベマキの樹肌にはコルク部分を剥がされた痕跡が残っていました。
昔、親父が瓶ビールを抜いた時、王冠の裏にコルクがあったことを思い出します。
そのほかにも卓球のラケットの裏にもコルクが貼り付けられていました。
戦時中は戦闘機の座席にアベマキの樹皮で作られたクッションが使われたと聞きます。
ワインの栓はコルクガシの一枚コルクで出来ています。
日本では厚いコルク層を持ったコルクガシは生育しないのでアベマキ(コルククヌギ)の樹皮を細砕して糊付けしコルクの代用としてきたらしい。
戦前戦後とビール瓶や醤油ソース等の密閉用蓋に使われたようです。


アベマキの葉と殻斗(かくと)・堅果


近所にある麒麟麦酒工場に勤めていた女性(79歳)の話ではこうでした。
ビールを醸造して瓶詰めされた製品は蓋で密閉されて低温から高温(80度c)の流水の中で1時間滅菌(パストライザー)をされるのが普通のビール、熱処理をしないで市場に出されるのが生ビールで早く飲まないといけないらしい、
瓶の蓋裏にあるコルクを見れば生ビールか熱処理をしたビールかは直ぐに判るとのことでした。
熱処理をしたものは冷めた後に減圧されるのでコルクが膨れているのだそうです。
近くの酒屋さんでこの話をしたところビールを一本分けてもらいました。
このビール、相当古いもののようです。
王冠は錆びてしまって何が描かれていたか?判りません。
瓶のマークはメーカーのイニシャルが入ったもの、登録商標と右から左にかけて書かれてありました。
懐中電灯を当ててみますがなんだか光が透過しないような気もします。
瓶裏には5と刻印されていました。
レッテルは剥がれ落ちて有りませんが糊付けされた痕は判りますので50年位経ったビールでしょうか?
酒屋で最近のビールを買ってきて比較してみました。
栓(王冠)を抜いてみました。
さすがにガスは抜けているようでスポッという音はしませんでした。
王冠裏を見てみました。
コルクで出来ています。


左は古いビールの蓋裏 右は最近のもの


抜栓直後は湿り気があるのか黒い色をしています。
細砕コルクを糊付けしたものでなく一枚コルクを使用しているようです。
そんなに古いものではないかもしれないがコルクは瓶に付着していました。
もしかしてこのビール会社はアベマキではなくコルクガシの一枚ものを使用していたのかもしれない?
詳しいことはわかりませんでしたがとにかく飲んでみましょう
グビッ!
美味しいとは思いませんでしたが味はそんなに悪くは無い!
ただ色が黒ずんでいましたね。
喉越しに一気に飲み下す代物では有りませんでした。
せっかく開けたのだからと昨日釣った雑魚を肴に飲みきったというわけです。


ソイの刺身とホゴメバル・キスの塩焼き


アベマキ、されどアベマキ、遠い過去を偲びつつ・・


アベマキの樹林に咲くコバノミツバツツジ(春四月)

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